【1月29日 AFP】イタリア警察当局は28日、同国南部を拠点とする犯罪組織「ヌドランゲタ(Ndrangheta)」のメンバーら160人以上の逮捕状を取り、一斉摘発で140人以上を逮捕した。ヌドランゲタは欧州のコカイン密売の大部分に関与している組織で、検察当局や政界は組織犯罪に対する歴史的勝利だと高く評価している。

 夜明けごろに行われた一斉摘発では、ヌドランゲタの本拠地である南部カラブリア(Calabria)州で40人以上を、また近年マネーロンダリング(資金洗浄)目的でヌドランゲタが進出しつつある北部エミリアロマーニャ(Emilia Romagna)州で幹部とみられる6人を含む100人以上を逮捕した。逮捕者の中には、元警察官や現役警察官、有力な地方政治家1人、複数の実業家が含まれている。

 加えて200人が捜査対象となっているほか、1億ユーロ(約132億円)の資産が凍結された。マフィア摘発を指揮するフランコ・ロベルティ(Franco Roberti)検事は、「前例のない」規模の一斉摘発であり国の組織犯罪撲滅の闘いにおける「転機」だと述べた。

 ヌドランゲタは、現在イタリアで最も強い影響力を持つ犯罪組織とみられている。中南米から欧州への麻薬密売ルートを牛耳ることで得た高い資金力で、シチリア(Sicily)・マフィアの「コーザ・ノストラ(Cosa Nostra)」やナポリ(Naples)を拠点とする犯罪組織「カモッラ(Camorra)」を圧倒している。

 勇気や忠誠を意味するギリシャ語にその名を由来するヌドランゲタは、結び付きの固い一族を中心とした組織で、内部に入り込むのは困難とされる。組織運営も非常に慎重で、ボローニャ(Bologna)のロベルト・アルフォンソ(Roberto Alfonso)主任検察官が28日の記者会見で明かしたところによれば、地元の企業や団体、地方行政、司法当局の内部に組織に忠誠を誓う人物を作り、拠点としていたという。(c)AFP/Angus MACKINNON