【1月26日 AFP】東南極で最大の氷河の融解が、海水温度の上昇によって進んでいると、オーストラリアの研究チームが26日、発表した。この氷河は全長120キロ、幅30キロにわたって広がるトッテン氷河(Totten Glacier)で、すべて溶けた場合、世界の海面が6メートル上昇する規模だという。

 トッテン氷河は最近まで、寒流に囲まれているために安定していると考えられていた。しかし、南半球の夏に行われた遠征の際、トッテン氷河の周囲の海水温度は、他の地域よりも約1.5度高いことが確認された。遠征を率いた主任研究者のスティーブ・リントゥール(Steve Rintoul)氏は「衛星のデータから氷河が薄くなっていることは分かっていたが、原因は不明だった。暖かい海水がこの氷河にも到達するということは、東南極は気候変動による海洋の変化に対し、我々が考えていたよりも脆弱(ぜいじゃく)な可能性がある」と述べた。

 リントゥール氏は、一夜にしてトッテン氷河が溶け世界の海面が6メートル上昇することはないが、海水温度が氷床に与える影響を予測する上で、トッテン氷河に関する研究は重要だと述べた。先月発表された研究では、南極の中で最も速いペースで融解が進んでいる部分の氷河の融解率は、過去10年で3倍に加速していると指摘している。(c)AFP