【1月18日 AFP】無人機のパイロット不足に直面する米空軍は15日、人手不足を補うため無人機パイロットの昇給や、予備役のパイロットを動員することを明らかにした。

 デボラ・リー・ジェームズ(Deborah Lee James)米空軍長官は記者会見で、無人機需要の増加により米軍のリソースは不足しがちになっている。航空機のパイロットに大きな負担がかかっており、その労働時間は平均で1日14時間、週6日勤務となっていると述べた。

 無人機パイロットの給与体系は通常のパイロットと同じだが、任期終了近くに軍に残るよう支払われる特別「奨励給」の受給資格はない。

 ジェームズ長官は、規則の変更を目指しつつ、当面は任期切れが近い無人機パイロットの給与引き上げを承認した。それにより、飛行手当が月額650ドル(約7万6000円)から1500ドル(約17万6000円)に跳ね上がることになる。

 ジェームズ長官は昨年、無人機操縦の中心地である米ネバダ(Nevada)州クリーチ空軍基地(Creech Air Force Base)を視察した際、パイロットが酷使されていることを目の当たりにしたという。 米空軍パイロットの年間平均飛行時間は有人機では200~300時間だが、無人機では900~1100時間にも上る。米陸軍は既に下士官にも無人機の操縦をさせているが、空軍も同様の措置を検討中だという。

 無人機パイロットの増員計画は、米国がイラクとシリアでイスラム教スンニ派(Sunni)の過激派組織「イスラム国(Islamic StateIS)」に対し、無人機の連日出撃を含む空爆を押し進めている中で出てきたもの。

 米軍は、アフガニスタンに駐留していた大半の部隊が撤収するに伴い、無人機出撃の必要はやや減少すると予測していた。だが、昨年8月に米国が主導してイスラム国に対する空爆が始まったことで、米空軍の無人機を360機以上増やしてほしいと要望する声が一層強まっている。(c)AFP/Dan De Luce