【1月16日 AFP】第87回アカデミー賞(Academy Awards)の候補者・作品リストが15日に発表され、ダークコメディー映画『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)(Birdman or (The Unexpected Virtue of Ignorance))』とスタイリッシュなミステリー作品『グランド・ブダペスト・ホテル(The Grand Budapest Hotel)』がそれぞれ9部門にノミネートされた。

 ノミネートの発表とともに、米ハリウッド(Hollywood)の賞レースは、ゴールに向けた最終段階に突入した。ただ名前の挙がった俳優や監督らが称賛を受ける一方で、候補者リストに白人以外の俳優が一人もおらず、また女性製作者も大いに見落とされるなど、多様性が欠如しているとの意見もネット上では多数見られた。

 上記2作品に続いたのは、第2次世界大戦(World War II)中の暗号解読をテーマにしたスリラー『イミテーション・ゲーム(The Imitation Game)』の8部門。そして、実話を基にしたクリント・イーストウッド(Clint Eastwood)監督の『アメリカン・スナイパー(American Sniper)』と子どもが大人に成長していく姿を実際に同じ出演者を12年にわたり撮影して制作したドラマ映画『6才のボクが、大人になるまで。(Boyhood)』がそれぞれ6部門でノミネートされた。

 これら5作品の他に作品賞にノミネートされたのは、米国の市民権をテーマにしたドラマ映画『セルマ(原題、Selma)』、スティーブン・ホーキング(Stephen Hawking)博士の半生を描いた『博士と彼女のセオリー(The Theory of Everything)』、ジャズドラマーを夢見る青年が主人公のインディー映画『セッション(Whiplash)』の3作品。

 第87回アカデミー賞授賞式は、2月22日にハリウッドの「ドルビー・シアター(Dolby Theatre)」で開催される。

■ハッシュタグ「#OscarsSoWhite(白一色のオスカー)」

 発有力候補と思われていた名前の幾つかは、発表リストには見当たらなかった。

 俳優が対象の4部門では、候補者20人はすべて白人だった。一部の批評家は、作品賞にノミネートされた『セルマ』で故マーティン・ルーサー・キング(Martin Luther King Jr.)牧師を演じた英俳優デヴィッド・オイェロウォ(David Oyelowo)が候補者から外れたことに失望の声を上げた。ネット上では、ツイッター(Twitter)でのハッシュタグ「#OscarsSoWhite(白一色のオスカー)」の使用が早くも目立っている。

 製作者では、『セルマ』のエヴァ・デュヴルネ(Ava DuVernay)監督や、『ゴーン・ガール(Gone Girl)』の脚本を手がけたギリアン・フリン(Gillian Flynn)氏ら、有力と思われていた女性2人がノミネートされなかった。この2人の落選は、今回の発表で最大の驚きとなった。

 映画芸術科学アカデミー(Academy of Motion Picture Arts and Sciences)でアフリカ系米国人として初の代表を務めるシェリル・ブーンアイザック(Cheryl Boone Isaacs)氏は、同アカデミー6000人余りのメンバーの選択を擁護するのに苦労している。

 米テレビシリーズ「フレンズ(Friends)」に主演したジェニファー・アニストン(Jennifer Aniston)も今回冷遇された一人だ。アニストンは、ドラマ映画『ケーキ(原題、Cake)』で演じた役で本命視されていた。

 また、昨年大きな話題となり、商業的にも大成功を収めた映画 『LEGO(R)ムービー(The Lego Movie)』は、アニメ映画部門でのノミネーションを逃している。