【1月16日 AFP】フランスのフランソワ・オランド(Francois Hollande)大統領は15日パリ(Paris)で演説し、同市とその周辺で前週発生した一連のテロ事件を踏まえ、イスラム教徒が「狂信的行為の主たる犠牲者になっている」と述べた。

 オランド大統領はパリのアラブ世界研究所(Arab World InstituteIMA)で演壇に立ち、「狂信的行為と原理主義、不寛容の主たる犠牲者はイスラム教徒だ」とした上で、国全体が「テロリズムに立ち向かうため団結している」と話した。

 さらに、欧州最多のイスラム教徒が暮らすフランスでは、イスラム教徒は「その他の市民と同じ権利と義務」を持っており、保護されなければならないとの考えを示した。

■犠牲者17人のうち5人の葬儀

 この日は一連の事件で犠牲になった17人のうち、5人の葬儀がパリで行われた。うち2人は襲撃を受けた風刺週刊紙シャルリー・エブド(Charlie Hebdo)に寄稿していた著名な風刺漫画家で、1人は同紙本社の警備に当たっていた警察官だった。

 国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)系組織が犯行声明を出した事件の中でイスラム過激派の兄弟2人の銃弾に倒れたジョルジュ・ウォランスキ(Georges Wolinski)氏(80)と、「ティニュス(Tignous)」のペンネームで知られたベルナール・ベルラック(Bernard Verlhac)氏(57)の2人は、近親者だけに見守られて埋葬された。

 地元役場で開かれたベルラックさんの追悼式には、霧雨の降る中数千人が足を運び、妻のクロエ(Chloe Verlhac)さんによる弔辞に耳を傾けながら、大きな遺影の下に花を手向けた。

 生前の本人の手による漫画が描かれたひつぎが墓地に向かって運ばれる際には、「ありがとう、シャルリー・エブド」「われわれの英雄たち」などと書かれた横断幕を掲げた参列者が拍手で見送った。(c)AFP/Richard CARTER