【1月14日 AFP】私がスキージャンプ週間(Vierschanzentournee)を初めて撮影・取材したのは、12年前のことだ。男子スキージャンプW杯に組み込まれる大会で、ドイツとオーストリアで2試合ずつ行われる。過去12年のうち3年間だけを除いて毎年取材してきた。

 だが今年の大会で重要だったのは、1人ではなかったことだ。同僚のサミュエル・コバニも一緒で、彼がメーン部分を担当した。つまり、私は総括的な、絶対なくてはならない写真(ゴールの瞬間や表彰式など)の心配をする必要がなく、一定の自由を手に入れたというわけだ。

 選手たちのトレーニング・セッションの間は、ジャンプ台の下から撮影することができる。試合中はアクセスできない場所だ。私は一脚も魚眼レンズも持っていなかった。携行していたのはズームレンズだけで、それを見上げながら構えて、踏み切って空中に飛び出すスキーヤーを捕えようとした。14-24ミリズームでは、すぐにシャッターを切る必要がある。始まってからズームを操作したり、構図を切り取っている余裕はない。

 だが撮影にはいつも、幸運という要素がめぐってくることがある。私はこの日、とてもついていた。天候は悪かったが、選手がジャンプした瞬間に少し晴れ間が見え、青い空を背景にした選手たちのシルエットが撮れた。インスブルック(Innsbruck)の山々も写り、素晴らしいパノラマ写真を撮影できた。

 私は何年も自分のミスから学ぶようにしてきた。シャッターを遅く切る撮影は、まさに実験の繰り返しだ。このときは露出を4分の1秒から10分の1秒の間で遊んだ。いつも台無しにならないようにと願いながら、実験するのだ。そして誰かと一緒に取材しているときは、こうした遊びを加える余裕ができる。だからチーム取材は大好きだ。

 ジャンプ週間の取材は斜面の上り下りを繰り返し、かなりの肉体労働だ。雰囲気は最高だが、フォトグラファーにとっては喜んでばかりもいられない。インスブルックでは巨大な風よけがあり、撮影が許可されている地点からの視界を奪っている。その上、主催者は良い写真が撮れそうな場所へなかなか行かせてくれない。最近はますます、ありきたりの場所からの撮影しか認められないため、どんな写真が撮れるか予想がついてしまう。それを変える可能性がある要因は、天候と運しかない。

 写真はとても謙虚なスポーツだ。何が撮れるか分からないし、自分でも驚くことがある。どんな状況に置かれても受け入れて適応しなければならない。また雪が降りだした。シャッタースピードを遅らせるにはちょうどいいかもしれない。

 今日の私はついていなかった。転倒が起きた場所まで2~3分かかる場所にいた。ああ、また転倒した選手がいる!早く撮りに行かないと。(c)AFP/Joe Klamar


この記事は、AFP通信のカメラマン、Joe Klamarが書いたコラムを翻訳したものです。