【1月14日 AFP】今月1日、フランスのジャンイブ・ルドリアン(Jean-Yves Le Drian)国防相が西アフリカのニジェール、マダマ(Madama)へ電撃訪問した際に私は同行取材した。仏軍はニジェール北方の辺境に位置する、フランス植民地時代の要塞に近いその砂漠地帯に、この地域における対テロ作戦の前線基地を築こうとしている。

 基地があるのはリビア国境への入り口で、イスラム武装勢力や武器の密輸業者たちが、戦闘や襲撃の絶えないマリ北部やニジェールへ向かうルート上だ。基地のために新しく造られた滑走路の近くで、唖然(あぜん)とするほど大量の荷物を積んだトラックを5、6台見かけた。私は国防相の一行から離れて彼らの方へ向かい、何枚か写真を撮った。

 トラックはそこから約100キロ北にあるリビア国境を越えて来たのだった。彼らはニジェールの税関の審査を待っていたのだが、審査など形式だけで、ニジェールの兵士は書面を一目見るだけで終わらせていた。検査のために膨大なトラックの積み荷を下ろされることはないのが通常だ。

 昔からラクダによるキャラバン(隊商)交易のルートだったマダマは現在、合法なものから違法なものまで、あらゆる種類の物資を運ぶ通過点になっている。うず高く積まれた品物の中に、カラシニコフ銃が入った木箱が5、6箱ほど隠れているのを想像するのは簡単だ。

 私はさらに近づいた。ドライバーたちはとても気さくで、写真を撮られることを喜んだ。私たちは少し話をした。彼らのようなトラックはフランスでは見たことがなく、こんなに荷物を積んだまま何時間も砂漠を運転できるとは驚きだと、私は話しかけた。

 すると、1人がこう返した。「こんなの何でもないよ!俺たちの少し後に、もっと大きなトラックが来るさ。ちょっと待ってたら、見えるよ」

 だが私は国防相の一行の下へ戻らねばならなかった。朝、飛び立ったばかりのチャドへ戻るための軍用機に乗る必要があったからだ。大臣の電撃訪問はわずか3時間というタイトなスケジュールだった。砂漠の中をごろりごろり進む、地球一大きなトラックの姿を見ることができなかったのが心残りだが。(c)AFP/Dominique Faget


この記事は、AFP通信のパリ在住のカメラマン、Dominique Fagetが書いたコラムを翻訳したものです。