【1月13日 AFP】中国のスマートフォン(多機能携帯電話)メーカー、「小米科技(シャオミ、Xiaomi)」の創業者で会長兼最高経営責任者(CEO)、雷軍(レイ・ジュン、Lei Jun)氏は2014年11月に同国で開かれた「世界インターネット会議(World Internet Conference)」で、「今後5~10年で、シャオミは世界一のスマートフォン・メーカーになるチャンスがある」と明言した──。

 高性能スマホを低価格で提供するシャオミは競争の激しい中国スマホ市場で抜きんでた存在だ。米国の市場調査会社IDCによると、14年第3四半期のシャオミの世界出荷台数は1730万台で、2010年の創業から5年も経たないうちに、米アップル(Apple)、韓国のサムスン電子(Samsung Electronics)に次ぐ世界3位のスマホメーカーに成長した。

 シャオミの14年全体のスマホ販売台数は6100万台と、前年から227%増加。同年の売上高は120億ドル(約1兆4000億円)となり、前年から2倍以上伸びた。

 シャオミの高性能モデル「Mi4」は、64ギガバイトのストレージで410ドル(約4万9000円)。中国市場で998ドル(約11万9000円)で販売されているアップル「iPhone(アイフォーン) 6」の競合モデルの半額以下だ。新発売の低価格モデル「Redmi2」はわずか115ドル(約1万4000円)となっている。

 ただ、こうしたシャオミの快進撃については、iPhoneのコピー商品に過ぎず、中国における知的財産権の保護が不十分なことで潤っているとの批判の声もある。

 米紙ウォールストリート・ジャーナル(Wall Street Journal、WSJ)が伝えたところによると、アップルのデザイン担当上級副社長、ジョナサン・アイブ(Jonathan Ive)氏は、自社とシャオミの商品の類似性について「盗用」と表現しているが、シャオミに対する法的措置などは取られていない。

 2010年の創業当初は無名企業だったシャオミは、今や、企業価値450億ドル(約5兆3000億円)と評価される企業へと急成長した。人材引き抜きにも力を入れており、マイクロソフト(Microsoft)、モトローラ・モビリティ(Motorola Mobility)、ヤフー(Yahoo)といった米企業から優秀な人材を集めている。リン・ビン(Lin Bin)社長とヒューゴ・バラ(Hugo Barra)国際業務担当副社長は米グーグル(Google)出身だ。

 調査会社アナリシス・インターナショナル(Analysys International)によれば、中国スマホ市場の14年第2四半期のシェアはシャオミが13.5%で、アップル(6.9%)を大きく引き離し、首位のサムスン(15.4%)に迫る勢いだった。

 アナリストらは、ジュン会長の成長戦略実現には海外展開が不可欠だが、特許の問題や海外市場での知名度の低さが障害になると指摘する。IDCは、シャオミの今後の課題として、「いかに素早く海外展開を行えるか」を挙げた。シャオミは現在、中国本土のほか、香港、台湾、東南アジアにも製品を投入しているが、インド進出には苦戦している。(c)AFP/Bill SAVADOVE