【1月10日 AFP】フランスの風刺週刊紙シャルリー・エブド(Charlie Hebdo)本社襲撃に始まり、パリ(Paris)の郊外と市内の計2か所で人質を取って同時に立てこもるという一連の事件は9日、治安当局の特殊部隊が現場に強行突入し、容疑者計3人が死亡、人質のうち4人が犠牲になるという衝撃の結末を迎えた。

 パリから北東へ約30キロ離れた町ダマルタンアンゴエル(Dammartin-en-Goele)の印刷工場に人質を取って立てこもっていたのは、シェリフ・クアシ(Cherif Kouachi)容疑者(32)とサイド・クアシ(Said Kouachi)容疑者(34)の兄弟だった。当局筋によると、脱出を試みる最後の懸けに出たとみられる2人は治安部隊に対し所持していたあらゆる銃で発砲しながら建物の外へ飛び出してきたという。警察は2人の出自について、フランス国内で生まれたアルジェリア系の孤児だったとしている。

 一方、パリ東部ポルトドバンセンヌ(Porte de Vincennes)でアメディ・クリバリ(Amedy Coulibaly)容疑者が人質を取って篭城していたユダヤ教系食料雑貨店にも警察が突入。銃声と爆発音が鳴り響いた後の現場には、クリバリ容疑者と人質4人が死亡しているのが見つかった。治安筋の話では、一部の人質は無事解放されたという。突入時に、警察官3人を含む7人が負傷した。クリバリ容疑者は、パリ郊外モンルージュ(Montrouge)で8日に女性警察官が銃撃され死亡した事件の容疑者と同一人物だとみられている。

 地元テレビ局に対し、シェリフ・クアシ容疑者は国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)系のイエメンの武装勢力「アラビア半島のアルカイダ(AQAP)」から資金面も含め支援を受けていたと語り、クリバリ容疑者は自分はイスラム教スンニ派(Sunni)の過激派組織「イスラム国(Islamic StateIS)」のメンバーで、シェリフ容疑者と協調していたと話していた。

 仏テレビ局BFMTVによると、クリバリ容疑者は同テレビ局の記者と話した後で電話をきちんと切らなかったため、警察はクリバリ容疑者の様子を知ることができたという。警察は、容疑者が礼拝のためひざまづいたタイミングを捉えて強行突入に踏み切った。

 フランス国民は激震の3日間に命を奪われた計17人を追悼し、負傷した20人の回復を祈っている。(c)AFP/Marianne Barriaux with Valentin Bontemps in Dammartin-en-Goele