【1月5日 AFP】中国で先月、すでに死刑が執行された当時18歳の少年に再審無罪判決が言い渡された18年前の強姦(ごうかん)殺人事件で、犯行を自白していた男の裁判が5日開始された。

 内モンゴル自治区(Inner Mongolia Autonomous Region)当局の公式ブログによると、省都フフホト(呼和浩特、Hohhot)の中級人民法院(地裁)で始まった趙志紅(Zhao Zhihong)被告に対する裁判は、今週中に判決が言い渡される見込み。

 中国共産党下の司法制度の欠陥を浮き彫りにしたこの事件は、1996年にフフホトの織物工場のトイレで女性1人が強姦され、窒息死させられたもの。事件後まもなく当時18歳だったホクジルト(呼格吉勒図、Hugjiltu)元死刑囚が容疑者とされ、48時間にわたる尋問の末に犯行を自供。裁判で死刑判決を言い渡され、事件発生から61日後に処刑された。しかし、ホクジルト元死刑囚の家族は冤罪(えんざい)だとして長年、無実を証明しようとしてきた。

 2005年になって趙被告が当局に逮捕され、96年の事件を含め10件を超える強姦や殺人を自白。しかし、翌年行われた9件の裁判の中に96年の事件は含まれず、この事件に関する判決は言い渡されてこなかった。

 一方、フフホトの裁判所は昨年、ホクジルト元被告の再審を開始。12月に「証拠不十分」でホクジルト元被告の無罪を言い渡した。当局によれば、ホクジルトさんの両親には200万元(約3800万円)以上の賠償金が支払われる。

 13年に中国で行われた刑事裁判の有罪率は99.93%を超えており、同国の司法制度下で無罪となる例は極めて珍しい。(c)AFP