【1月5日 AFP】イタリア沖で、乗組員によって漂流させられていた船舶に乗っていた不法移民らが、危険な船旅のために最高で8000ドル(約96万円)を密航業者に支払っていたことが分かった。

 イタリア当局は3日、寒さと空腹に苦しんでいた乗客360人を船から救出した。中東やアフリカの人々が、紛争や貧困から逃れるために地中海(Mediterranean Sea)を渡って欧州を目指す事例はこのところ増加傾向にある。

 こうした不法移民たちは、密航業者らの食いものにされている。業者側は最近、不法移民をいっぱいに乗せた「幽霊船」を欧州諸国の沖合で放棄するという新たな方法を取り始めた。

 イタリア当局によると、欧州に向かう不法移民が業者に支払う金額は現在、1人当たり4000~8000ドル(約48万~96万円)ほど。イタリア南部沖で1日、燃料も電気もない状態で漂流しているところを発見されたシエラレオネ船籍の「エザディーン(Ezadeen)号」に乗船していた人たちも、同程度の金額を支払っていた。

 乗船していたのは男性232人、女性54人、子ども74人で、その大半がシリアの内戦を逃れてきた人々だとみられている。一方、幽霊船の乗組員が船を離れたのか、不法移民として救出される側に紛れ込んでいるのかについては混乱も生じている。(c)AFP/Alfonso Di Vicenzo