【12月30日 AFP】英スコットランド(Scotland)の最大都市グラスゴー(Glasgow)で29日、最近シエラレオネから帰国した医療従事者がエボラ出血熱に感染していることが確認された。スコットランド自治政府が発表した。エボラ出血熱の今回の流行で、英国で感染が確認されたのは初めて。

 ニコラ・スタージョン(Nicola Sturgeon)同自治政府首相はこの感染者について、エボラ出血熱の流行地域の「最前線」で患者の治療に当たっていた医療従事者の女性で、現在入院しており、容体は安定していると発表した。

 女性はモロッコ・カサブランカ(Casablanca)と英ロンドン(London)のヒースロー空港(Heathrow Airport)を経由し、28日午後11時30分(日本時間29日午前8時30分)ごろグラスゴー空港に到着したとされる。体調不良を訴えたため、29日にガートナベル病院(Gartnavel Hospital)に入院し、午前7時50分(日本時間同日午後4時50分)に隔離措置がとられた。

 スコットランド自治政府は「現在この患者と接触した可能性のある人々の特定作業を行っており、該当者は連絡がいった上で監視されるだろう。ただし、ごく初期に診断されため、他者への影響リスクは極めて低いものと考えられる」と説明している。

 英政府が策定した女性の治療計画によると、現在治療を受けているガートナベル病院のブラウンリー感染症科(Brownlee Unit for Infectious Diseases)から、より高度な隔離施設が整っているロンドンのロイヤル・フリー病院(Royal Free Hospital)に「できるだけ早期に」移送できるよう調整を進めている。

 デービッド・キャメロン(David Cameron)英首相は、「国民の健康を守るため、あらゆる措置を講じる」考えを示した。

 スコットランド自治政府は現在、女性が搭乗していたロンドン発グラスゴー行きのブリティッシュ・エアウェイズ(British AirwaysBA)便の乗客乗員71人に連絡を取っているとしながらも、感染拡大を引き起こす可能性のある症状は出ていないため、「無視できる程度のリスク」しかないと強調している。(c)AFP