【12月29日 AFP】マレーシアは呪われているのか――地元航空会社の旅客機が相次いで悲劇に襲われたマレーシア国内では、こんな嘆きの声も聞かれる。

 マレーシアでは今年3月、国営マレーシア航空(Malaysia Airlines)のMH370便が乗客乗員239人とともに失踪。続いて7月には、298人が乗った同MH17便が、紛争地帯のウクライナ東部上空で撃墜された。2件の悲劇の衝撃から立ち直る間もなく、格安航空エアアジア(AirAsia)のQZ8501便は28日、162人を乗せたまま消息を絶った。

「なぜ、この国はこんな困難に遭わなければならないのか」。息子がMH370便に搭乗していたというスブラマニアム・グルサミさんは、AFPの取材にこう語った。「何の警告もなく起きる惨事は、ほんとうにつらい。これは呪いなんだろうか。われわれの運命なのか」

 エアアジア機の失踪は、マレーシアが数十年ぶりの大洪水に見舞われる中で起きた。洪水では16万人以上が避難を余儀なくされ、政府の対応の遅さに世論の怒りが募っていた矢先だった。

 交流サイトのフェイスブック(Facebook)には、あるユーザーが「神よ、わが国を救いたまえ。洪水、竜巻、MH370便の失踪、MH17便の撃墜。今は、連絡が途絶えたきりのQZ8501便の無事を祈っています」と書き込んだ。

 マレーシア北部ペラ(Perak)州のムフティー(イスラム教法学者)、ハルサニ・ザカリア(Harussani Zakaria)師は、航空機事故や洪水被害について国内の政争に原因があると主張。「絶え間なく政争を続けているため、われわれはアラー(神)から試されているのだ」「これらの惨事は、神の試練だ。われわれは団結し、人種を超えた平和のために努力しなければならない」と語った。

 行方が分からなくなっているQZ8501便は、エアアジアのインドネシア子会社が運航していた。インドネシアのスラバヤ(Surabaya)を出発し、シンガポールに向かう途中、悪天候の中で管制との交信が途絶えた。(c)AFP/M JEGATHESAN