【12月27日 AFP】中国で26日、同国北西部に位置する新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)の首府ウルムチ(Urumqi)と、約1800キロメートル離れた隣接する甘粛(Gansu)省の蘭州(Lanzhou)を結ぶ高速鉄道、蘭新線第二複線(Lanzhou-Xinjiang High-speed Railway)が全線で開業した。

 蘭州西駅(Lanzhou West Railway Station)では現地時間午前10時49分に622人の乗客とウイグル族などの少数民族の衣装を着た女性乗務員らを乗せた列車が出発し、中国中央テレビ(China Central TelevisionCCTV)はそのもようを生中継した。その2分後にはウルムチから蘭州行きの列車が出発した。

 国営新華社(Xinhua)通信によると、新路線は甘粛省の省都である蘭州と新疆ウィグル自治区の区都であるウルムチ間の1776キロを最高時速250キロで結ぶ。

 中央から遠く離れ、経済的にも立ち遅れた中国北西部で初の高速鉄道となったこの路線は、かつて万里の長城(Great Wall of China)の一部があった標高の高い祁連山脈(Quilian Mountain Range)や、5つの強風地帯を通る。開業によりウルムチ──蘭州間の移動時間は12時間以下となり、従来のおよそ半分に短縮された。

 新路線はカザフスタンなど中央アジア各国やさらにその先にある国々との経済的な結びつきの強化を目指す中国のシルクロード経済ベルト(Silk Road Economic Belt)推進政策の一環として開発されたもの。

 広大な面積があり、中央アジアとも接する新疆ウイグル自治区には主にウイグル族などのイスラム系民族が暮らしているが、中国の移住政策によって過去50年間に同自治区に住む漢民族が大幅に増加した。

 原油や天然ガスなどの豊かな天然資源が存在する同自治区の内外では地元住民と当局間の民族や宗教に根差した抗争や暴力的な攻撃が頻発しており、中国政府はこれらを「宗教に触発されたテロリズム」と呼んでいる。(c)AFP