【12月27日 AFP】ウクライナ政府と同国東部の親露派武装勢力は停戦合意の実現に向けた努力の一環として26日に始めた捕虜交換を27日に完了させる見通しだ。

 捕虜になっていた親露派の222人とウクライナ軍の145人が、親露派武装勢力の支配下にあるウクライナ東部ドネツク(Donetsk)の北にある暗く、隔絶された道路で交換された。親露派の報道官によると、最後まで捕虜にしていたウクライナ軍の5人を27日に隣接するルガンスク(Lugansk)で政府側に引き渡す予定だという。

 ウクライナ政府と親露派はインターネット電話サービス「スカイプ(Skype)」を通じて接触しつつ、ロシアと欧州が派遣した特使の仲介の下、ベラルーシの首都ミンスク(Minsk)で24日と26日に協議を行って包括的な和平協定を締結するはずだった。しかし24日の協議は5時間の激しい話し合いの末に不調のまま終了した。議題に挙がっていた4項目のうち合意に達したのは最も対立の少ない捕虜交換だけだった。

■クリミアへのバスと列車を停止

 一方、ウクライナ政府は26日、安全保障上の懸念を理由にウクライナ本土とクリミア(Crimea)を結ぶバスと列車の運行を全て停止すると決定。これは230万人が暮らすクリミア半島を事実上ウクライナから切り離すことを意味する。交通網遮断の決定を受け、和平協議の雰囲気は一層敵対的なものになった。

 スカイプを通じた双方の接触は27日も続くが、直接対話の新たな日程を決めるには至っていない。こうした中でも捕虜の交換は円滑に行われた。敵対する双方の間で実現した異例の共同作業だ。

 解放された捕虜の中には、大みそかを自宅で過ごせる可能性が出てきたことに驚きと喜びをあらわにする人たちもいた。旧共産圏の東欧では一年の祝日の中で大みそかが最も大切にされている。(c)AFP/Max DELANY and Dmitry ZAKS in Kiev