【12月26日 AFP】(写真追加)北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン、Kim Jong-Un)第1書記の暗殺をテーマにした奇想天外なコメディー映画『ザ・インタビュー(The Interview)』が25日、米国各地の映画館で公開された。

 この問題作は北朝鮮の怒りを招き、映画を製作したソニー・ピクチャーズ エンタテインメント(Sony Pictures Entertainment)が社内ネットワークへの不名誉なサイバー攻撃を受けた他、観客らに対し攻撃予告が出されたことを重くみて、同社は一時本作の公開中止を発表していた。

 ロサンゼルス(Los Angeles)にある同作を真っ先に公開した劇場の一つに、映画の共同監督・主演・脚本を担当したコメディー俳優のセス・ローゲン(Seth Rogen)氏ともう一人の共同監督エバン・ゴールドバーグ(Evan Goldberg)氏が、同日午前0時を回った直後にサプライズで登場。2人は近所に住んでいると明かした上で、観客と同作の公開に踏み切った映画館に対し謝意を述べた。

 この時の様子を撮影し、動画共有サイトのユーチューブ(YouTube)に投稿された動画によると、ローゲン氏は歓声を上げる観客に対し「(公開は)実現しないかもしれないと思っていた」と告白。ゴールドバーグ氏が「ここで上映されていて、みんながわざわざ見に来てくれたことが・・・」と語り始めると、ローゲン氏が「それはもうホントにマジで超うれしい」と続けた。

 さらにローゲン氏は、「ただただみんなにお礼を言いたかった。こういう劇場でなければ、そしてみんなのような人がいなければ、絶対にこうはならなかった(映画は上映されなかった)はず」と感謝の気持ちを示した。

 これまでのところ、全米で約300か所の独立系映画館が上映を発表している。一方大手劇場チェーンは、ソニー・ピクチャーズをいったん上映中止の判断に追い込んだネット上での匿名の脅迫を受けて、同作の公開を見送っている。

 首都ワシントンD.C.(Washington D.C.)の映画館「ウエストエンドシネマ(West End Cinema)」でこの映画を見たジェフ・クローリー(Jeff Crowley)さん(49)は、「もともとはこの映画を見るつもりはなく、特に今日見るつもりもなかったのだが、論争になっているので劇場に来て鑑賞するのが重要だと思ったんです」と語った。

 同館の共同所有者ジョシュ・レビン(Josh Levin)氏は、25日のチケットは発売後1時間で完売し、26日と27日の分も売り切れたと述べた。同館は普段はもっと洗練された映画を上映しているが、観客は作品を温かく受け入れていたという。(c)AFP