【12月26日 AFP】英ロンドン(London)の明け方、ネサニエル・ホーンさん(26)は通勤前に、何百人もが踊って騒ぐパーティーに参加する。ただし、ここで出される飲み物はコーヒーとスムージーだけ。アルコールはなしだ。

 午前6時15分、おしゃれなアートギャラリーが立ち並ぶベスナル・グリーン(Bethnal Green)地区。狭い路地の奥まったところにある円形競技場のようなイベント会場「オーバルスペース(Oval Space)」の前に早朝から長蛇の列ができている。広さ500平方メートルほどの倉庫のような雰囲気が漂う場所だ。

 ようこそ、出勤前のアルコールフリーのディスコ、「モーニング・グローリービル(Morning Gloryville)」へ。

「モーニング・グローリービルは1年半前に始まった。初回の参加者は26人ほどしかいなかった」と、共同創設者のサマンサ・モヨ(Samantha Moyo)さんは言う。「でも今は1回のイベントで1000人も集まるし、世界16都市で開催している」。その都市の中にはインドのバンガロール(Bangalore)、ニューヨーク(New York)、東京も含まれる。

 赤ちゃんや子供は無料で参加でき、クラブミュージックから守るために幼児用の耳あてが提供される。

 モヨさんは、このイベントを「アルコールとドラッグなしのパーティー」と表現する。ビールやカクテルの代わりにバーではスムージーが用意されている。例えば「インクレディブル・ハルク」と名付けられたグリーンのスムージーは、リンゴ、バナナ、レモン、ホウレンソウ、そして栄養補助食の藻類スピリルナ入りだ。

 ターンテーブルの後ろに立つDJのマイルズ・メトリック(Miles Metric)さんは、ぴっちりとしたホットピンクの服を着ている。一方の参加者は、パジャマを着ている人もいれば、カラフルな服、カーニバルのようなファッション、トラやクマのコスチューム姿の人もいる。

 ロンドンの街は寒いが、パーティーはヒートアップ。DJがエレクトロダンスのユニット、ベースメント・ジャックス(Basement Jaxx)に舞台を譲ると、さらなる重低音が壁を揺さぶる。

「朝5時に起きてDJをするとは思わなかったよ」と、DJのメタリックさん。「これが始まりとなって、もっと大きな動きになるといい。ジムに通うよりずっといい。4時間騒いでから仕事に行くなんて素晴らしいアイデアだ」

 朝日が昇り始めると、仕事に行く時間だ。フランス人カップルのセドリック・トーマスさん(37)とマリーキャロライン・プティさん(28)は、衣装の上にコートを羽織って、オーバルスペースを後にした。

「普通ではない体験だった。でもだから私たちは参加した。朝特有の雰囲気があり、活気にあふれ、アルコール抜きの健全さがある」と、プティさんは語った。

 朝から騒いだせいで、後でぐったりするのでは?「午後4時ぐらいになると分かるわ」と、彼女は答えた。

(c)AFP/Edouard GUIHAIRE