【12月23日 AFP】国際人権団体アムネスティ・インターナショナル(Amnesty International)は23日、イスラム教スンニ派(Sunni)の過激派組織「イスラム国(Islamic StateIS)」により性奴隷にされたイラクの少数派ヤジディー(Yazidi)教徒の女性や少女たちが自殺したり、自殺未遂したりする事例が発生していると発表した。

 今年6月からイラクの広範囲の領土を掌握しているイスラム国は、隣国シリアとの国境をまたぐ地域でのカリフ制国家の樹立を宣言し、両国で残虐行為を繰り返している。

 アムネスティによると、イスラム国によってイラク北部のヤジディー教徒やその他の少数民族が標的にされた結果、民族浄化や一般市民の殺害、奴隷化が行われた。捕らわれた人の一部は、奴隷となることを死よりも過酷な運命とみなしている。

 アムネスティの危機対応上級アドバイザー、ドナテラ・ロベラ(Donatella Rovera)氏は声明で、「性奴隷として捕えられている人の多くは子どもで、14~15歳か、さらに若い少女たちだ」としている。

 アムネスティによると、加害者の多くはイスラム国の戦闘員だが、同組織の支持者らも含まれている可能性があるという。

 アムネスティは、被害者の一人であるジランさん(19)の事例を挙げている。兄弟によると、ジランさんは性的暴行を加えられることを恐れて自殺したという。

 ジランさんと共に拘束された後に脱出したある少女も、これを裏付ける証言をしている。「ある日、私たちはダンスの衣装のような服を与えられ、入浴してからそれを着るように言われた。ジランは浴室で自殺した」「彼女は両手首を切り、首をつった。彼女はとても美しかった。男に連れていかれることがわかっていたから、自ら命を絶ったんだと思う」

 別の元人質の女性、ワファさん(27)はアムネスティに対し、強制的な結婚から逃れるために姉妹と共に自殺を図ったが、止められたと語っている。「私たちは、お互いの首の周りにスカーフを巻き付け、思い切り強く引っ張った。私は気を失った。その後、数日間は話すことができなかった」

 アムネスティはまた、家族と共に拉致され、自分の倍の年齢の男から性的暴行を受けたランダさん(16)の話も取り上げている。ランダさんは、「彼らが私や家族にしたことは、本当に痛ましいものだった」と語っている。(c)AFP