【12月22日 AFP】(一部更新)フランス東部ディジョン(Dijon)で21日、男がアラビア語で「神は偉大なり」と叫びながら車で通行人に次々と突っ込み、11人が重軽傷を負った。捜査に近い筋が明らかにした。フランスでは前日にも別の男が同じ言葉を叫びながら警察官を襲う事件が起きたばかり。

 警察筋によると、男は21日夜、5か所で通行人を次々とはねた後、警察に逮捕された。9人が軽傷、2人が重傷を負ったが、いずれも命に別条はないという。

 捜査に近い筋がAFPに語ったところによると、男は1974年生まれで、精神が不安定とみられ、精神科病院への入院歴があった。動機は今のところはっきりしないが、現場にいた複数の人は、男が「アッラー・アクバル(アラーは偉大なり)」と叫び、「パレスチナの子どもたちのために行動している」と話していたと証言しているという。複数の警察筋によると、男は1990年代から軽犯罪を繰り返していた。

 仏中部ジュエレトゥール(Joue-les-Tours)では前日の20日、イスラム教に改宗した男(20)が刃物で警察官3人を襲い、射殺される事件が起きていた。警官2人は重傷で、うち1人は顔を切りつけられた。射殺された男はアフリカ中部ブルンジ出身のフランス国籍保持者で、犯行時に「アッラー・アクバル」と叫んでいたとされ、イスラム過激思想に根差した犯行とみられている。

 20日の事件を受け、政府は国内全土の警察署や消防署で警戒態勢を強化していた。各国の政府はここ最近、外国でイスラム過激派グループの戦闘に加わった後に帰国した者や、イラクやシリアでのイスラム教スンニ派(Sunni)過激派組織「イスラム国(Islamic StateIS)」に対する軍事作戦に参加している国々を攻撃するようにとのイスラム国の呼び掛けに感化された者などが単独で犯行におよぶ「一匹狼」的な攻撃への警戒を強めている。(c)AFP/Pauline TALAGRAND、Francesco FONTEMAGGI