【12月21日 AFP】ベルギー電力大手エレクトラベル(Electrabel)は19日、国内に7基ある原子炉のうち、何者かによる妨害工作を受けて停止していた同国北部のドール原発4号機(Doel 4)が、この日4か月半ぶりに再稼働したことを明らかにした。

 ドール4号機は今年8月、人為的操作で発生した6万5000リットルの潤滑油漏出を受けて緊急停止した。これで重量1700トンの蒸気タービンが著しく損傷し、隣国ドイツでの修理費は3000万ユーロ(約43億8000万円)に上った。国家安全保障に関わる事件を担当しているベルギー検察当局は、テロ行為の認定を避けつつ、その可能性を排除しない姿勢を示している。

 ドール4号機が再稼働した一方、ベルギーではコンクリート原子炉容器にひびのようなものが発見された2基が引き続き停止状態にある。同国は2025年までに原発を段階的に全廃する方針を決めているが、政府は18日に冬の電力不足を予測し、まず来年閉鎖を予定していたドール原発1号機と2号機の運転を延長する計画を発表した。

 ベルギーの総発電量に占める原発の割合は55%に上るため、停止や閉鎖で半数以上が失われて電力不足や停電に陥る懸念が浮上。規制当局はこの冬の電力需要に対応するため、特別措置を実施している。(c)AFP