【12月20日 AFP】中国・四川(Sichuan)省の村で、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)に感染した8歳の少年の追放を求める嘆願書に村民200人が署名した問題で、同国メディアは20日、自らこの嘆願書に署名した祖父が孫の追放に同意した理由について報じた。この一件は、中国のソーシャルメディア上で大きな議論を巻き起こしていた。

 少年の保護者である祖父は新京報(Beijing News)紙に対し、孫がどこか別の場所でより良い治療を受けることができるかもしれないと考え、「状況が改善されることを願って」署名したと語った。

 さらに、「われわれは年を取りすぎたし、孫はどんどん言うことを聞かなくなっている…もう孫の面倒をみきれない」と語り、「村の外に出ても生活が改善されないとなれば、戻ってくることもできるだろう」との考えを述べた。

 中国メディアが「クンクン」という仮名で呼ぶこの少年は、両親が出稼ぎで不在のため、祖父母のもとに預けられていた。

 60歳を過ぎている祖父はさらに、自分は「老い先短い」と話し、嘆願書については地元の記者から、孫の窮状に注目を集めるための1つの方法だとアドバイスを受けたと明らかにした。

 中国国営英字紙・環球時報(Global Times)によると、クンクン君は2011年に軽いけがを治療した際にHIV陽性と診断された。母子感染だったという。母親は2006年に家族のもとから去ったという。父親は、息子がHIV陽性と診断されて以降、連絡が取れなくなった。

「誰もぼくと遊ばない」と語るクンクン君は新京報に対し、両親の顔は思い出せないと述べた。「村を出て行きたいと思うか」との問いには首を振り、そのままそばにいたアヒルを追いかけていったという。(c)AFP