【12月18日 AFP】2018年、2022年のW杯招致活動における不正疑惑について、国際サッカー連盟(FIFA)で調査責任者を務めていた米国の元検事、マイケル・ガルシア(Michael Garcia)氏が17日、辞任を発表した。

 ガルシア氏は2018年大会(2018 World Cup)がロシア、2022年大会(2022 World Cup)がカタールに決まった2010年の投票と、そこに至るまでの招致過程を調査し、報告書をFIFAに提出したが、その報告書の扱いに不満をあらわにしていた。

 ガルシア氏は、辞任の理由にFIFAの「リーダーシップの欠如」を挙げている。

 辞任について、FIFAのジョセフ・ゼップ・ブラッター会長(Joseph Sepp Blatter)は「驚いた」とコメントするにとどまったが、サッカー界の重鎮で、欧州サッカー連盟(UEFA)会長でもあるミシェル・プラティニ(Michel Platini)会長は、辞任はFIFAの「新たな失態」だと話している。

 ガルシア氏は発表した声明の中で、「FIFAがこの問題に対するリーダーシップを欠いていることが明らかになったため、私は本件についての自分の役割は終わったと考えるに至った」と述べ、さらにロシア大会とカタール大会の投票過程において、「深刻かつ広範な問題」が見つかっていると改めて明言した。

 ガルシア氏は、18か月に及ぶ調査の結果をまとめた報告書の扱いについて、FIFAの上訴委員会に異議を申し立てていたが、同委員会は16日、異議を認めないことを発表していた。ガルシア氏が調査部会の責任者の職を辞したのは、その翌日の出来事だった。

 FIFAは18日と19日にモロッコのマラケシュ(Marrakech)で理事会の会合を開く予定となっており、この話題も大きく取り上げられるとみられる。

 ブラッター会長は声明を発表し、「ガルシア氏の決断に驚いた。しかし、倫理委員会は仕事を継続する」と述べた。

 FIFAは11月、倫理委員会のハンスヨアヒム・エカート(WHans-Joachim Eckert)氏が、ガルシア氏の報告書の概要を発表し、再投票が必要になるほどの証拠は示されなかったと結論づけた。しかしガルシア氏は以前から、この概要は「不完全で間違いだらけ」だと主張していた。

 米国有数の法律家の離脱によって、理事会の会合を控えるFIFAは、今後のかじ取りにはさらに厳しい目が向けられることとなった。ブラッター会長は、会合ではガルシア氏の調査が「話題の中心になる」と話している。

 また、いくつかの報道によれば、理事のなかには、報告書の完全版の公開の是非を問う投票を、会合で行うべきだと求めている者もいるという。

 ガルシア氏は声明で、この問題に対するFIFAの温度が、ここ数か月で悪い方向に変化していると述べた。

 2012年7月に調査責任者に指名されて以来、2年以上この仕事にあたってきたガルシア氏は、「倫理面のさらなる強化という点で、倫理委員会は大きく前進していると感じていたが、ここ数か月でその印象は変わりました」と話した。

 そして報告書については、改めて「招致と投票の過程で、深刻かつ広範な問題があったことが判明しています」と明言した。