【12月17日 AFP】ロシア・ルーブルが16日暴落し、一時1ドル=80ルーブル、1ユーロ=100ルーブルと過去最安値を記録した。ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領がこの経済の危機的状況と欧米との衝突という2つの難題を乗り越えられるのか、その手腕が試されている。

 これまで石油価格の下落に加え、ウクライナ東部の親ロシア派武装勢力を支援していることに対する欧米からの制裁で、ルーブル安が続いていた。ロシア中央銀行は日付が16日に変わった直後に主要政策金利を17.0%に引き上げたが、ルーブルの暴落を食い止めることはできなかった。

 ロシアの歳入は石油輸出に大きく依存しており、過去6か月間に原油価格が半分程度にまで下がったことを受けて景気の大幅な減速を危惧する声は強まっており、中央銀行が来年5%のマイナス成長を警告するという異例の事態に陥っている。

 同日中に20%下落したルーブルは午後遅くの取引で若干持ち直し、1ドル=72ルーブル、1ユーロ=91ルーブルの水準になった。

 経済の見通しが悪化の一途をたどり、景気後退が懸念される中、有権者に経済の安定と相対的な繁栄を公約していたプーチン大統領は、極めて難しいかじ取りを迫られている。

■経済発展相、通貨統制は否定

 ロシア政府は同日、ルーブル急落を受けて緊急会議を開いた。会議後にアレクセイ・ウリュカエフ(Alexei Ulyukayev)経済発展相は、外貨買い入れを制限する厳しい通貨統制措置は検討していないと明かした。

 ウリュカエフ氏によると、ドミトリー・メドベージェフ(Dmitry Medvedev)首相が招集したこの緊急会議で「状況の安定化に寄与し得る措置のリスト」をまとめることができたと述べ、「国内の外国為替市場における需給のより良いバランスを目指す取り組みを行っていく」という方針を示した。(c)AFP