【12月17日 AFP】2014年、死者を伴う旅客機の事故発生件数は史上最少だったにもかかわらず、起きた事故は大規模なものが目立ち、死者数は過去4年間で最多の762人に上った。

 なかでもマレーシア航空(Malaysia Airlines)の2件の悲劇は、旅客機が撃墜されたり、単純に消息を絶ったりすることがあり得るという衝撃的な事実を突きつけた。3月8日に乗客乗員239人とともに跡形もなく姿を消したMH370便の失踪は、女性飛行士アメリア・イアハート(Amelia Earhart)の失踪と同じく航空史上最大の謎となった。失踪前、同機の通信システムは意図的に停止されたとみられているが、ハイジャックや緊急事態があったのかなど、状況はまったく解明されていない。

 4か月後の7月にはまたもマレーシア航空のMH17便がウクライナ上空で撃墜され、乗客乗員298人全員が死亡した。ロシアが後ろ盾となっているウクライナ東部の分離独立派がミサイルで撃墜したと欧米諸国が非難するなど、超大国間の緊張は増した。

 その翌週、今度は台湾海峡(Taiwan Strait)で悪天候のためトランスアジア航空(TransAsia Airways、復興航空)GE222便が墜落。さらに西アフリカのマリでは、アルジェリア航空(Air Algerie)AH5017便が原因不明の墜落。これらの事故で合わせて160人以上が犠牲となった。

 そして飛行領域の拡大に伴う危険性は、10月の事故でいっそう強調されることになった。英ヴァージン(Virgin)グループ傘下の宇宙旅行会社ヴァージン・ギャラクティック(Virgin Galactic)の最初の商用宇宙船が、米カリフォルニア(California)州での試験飛行中に墜落し、パイロット1人が死亡した。

■航空事故件数は史上最少、しかし死者は急増

 しかしオランダに拠点を置く「航空安全ネットワーク(Aviation Safety Network)」によると、死者を伴う事故の発生件数は減少傾向にあり、2014年は皮肉にも航空史上最少の7件を記録したのみとなった。前年は15件だった。

 1946年以降、航空事故の年間平均発生件数は32件。全飛行回数が数百万回、旅客機の乗客はのべ数十億人に達する中、発生率は非常に小さいといえ、空の安全の向上という長期的な傾向が続いている。航空コンサルタントのジェリー・スジャトマン(Gerry Soejatman)氏は「非常に安全な時代だからこそ墜落が起きるのは極限的でまれな状況下であるため、より謎が深く衝撃的な事故となる傾向がある」と語る。

 一方、航空事故で今年亡くなった人は、史上最低だった昨年の224人から急増し、762人となった。マレーシア航空の2件の事故の死者を引いても、225人が死亡している。