【12月15日 AFP】フランス・パリ(Paris)で15日、神聖な儀式用の面など先住民ゆかりの品々が競売に掛けられる。アメリカ先住民の間には怒りが広がっており、面8点が出品される先住民ナバホ(Navajo)は、副首長率いる代表団をパリに送り込んで競売の阻止を試みる構えだ。

 在仏米大使館も介入に乗り出し、先住民が大切にしている品々の競売を中止するよう求めている。

 仏競売会社EVEが主催するオークションには、米先住民や北極圏のイヌイット、先コロンブス期の工芸品270点が出品される。こうした競売は2013年から4回目となるが、先住民らは儀式用の面や髪飾りには精霊が宿ると信じており、昨年は米アリゾナ州(Arizona)の先住民ホピ(Hopi)が競売の差し止めを請求した。

 ただ、競売中止を求める法的な取り組みはこれまで全て失敗に終わっている。一方、昨年パリの競売でホピの面21点を落札した米財団法人は、その後、落札した品々をホピに返還している。

■米国では90年から違法

 外交筋によれば、今回のオークションにもホピが神聖視する品40点が出品されることが分かっている。先住民族の権利保障を訴える国際組織「サバイバル・インターナショナル(Survival International)」は12日、出品者の身元開示を裁判所に請求した。

 米先住民ゆかりの品の売買は、米国では1990年に違法化され、博物館が所蔵品を先住民に返還する動きも進んでいる。しかし、米国の法律では海外での取引を禁止することはできない。

 昨年4月には、米俳優ロバート・レッドフォード(Robert Redford)さんらが神聖なものに対する冒涜(ぼうとく)だと非難するなど国際社会から中止を訴える声が上がったにもかかわらず競売が強行され、ホピの面約70点が約93万ユーロ(約1億4000万円)で落札されている。(c)AFP/Pascale Mollard-Chenebenoit