【12月15日 AFP】14日に投開票された衆議院議員総選挙で、安倍晋三(Shinzo Abe)首相(60)率いる自由民主党と公明党の与党が圧勝した。安倍首相はこの選挙を、自身の経済政策に関する国民投票と位置付けていたが、投票率は記録的な低水準となり、安倍政権に対する信任に暗い影が投げかけられる可能性が出ている。

 投票率はわずか約52%だったが、保守派の安倍首相はナショナリズムと「アベノミクス」を混ぜ合わせた自身の政治が大衆に支持されたと主張した。日本経済の立て直しを目指す安倍首相の代表的政策であるアベノミクスは当初成功を収めたものの、最近の経済後退によって色あせている。

 安倍首相はTBSに「2年間の安倍政権の信任を国民の皆様にいただいたと思っている。だからといって慢心することなく、丁寧に国民の皆様に説明をしながら政策を進めていきたい」と語った。

 報道各社の出口調査によると、自由民主党と公明党は議席の3分の2を獲得した。テレビ朝日(TV Asahi)は自公が475議席のうち333を獲得したと報道。一方、TBSは自公の獲得議席数を328としている。

「アベノミクス」の「三本の矢」のうちの2つ、金融緩和と財政面からの景気刺激策は、おおむね目標を達成した。高すぎた円は急降下して輸出産業を押し上げ、株価は急上昇。物価も上昇し始め、安倍首相はこれを経済成長の兆しだとして、すぐに賃金上昇へとつながるだろうとしていた。だが、4月の消費税増税で消費が冷え込み、日本経済は2四半期連続のマイナス成長となり、景気後退に陥った。

 安倍首相はNHKに「経済最優先で取り組んでいく。同時に、地球儀をふかんする戦略的な外交を進めるなかにおいて、日本の地位を高めていきたい」と語った。だが、投票率が2012年の選挙より7ポイント低い52%となったことで、今回の選挙結果で安倍政権が本当に信任を得たと言えるのか、それとも強力な選択肢の不足によって鈍化した有権者の怠慢な反応なのか、という疑念が生まれる可能性がある。先週の共同通信(Kyodo News)の調査では、選挙に興味を示したのは、回答者のわずか3分の2だった。

 原発の再稼働と増税に一貫して反対し、明確なイデオロギーを持つ数少ない勢力の一つである共産党は、公示前の議席の2倍以上に当たる少なくとも20の議席を獲得、注目に値する勝利を収めた。(c)AFP/Shingo ITO