【12月13日 AFP】数百社の多国籍企業がルクセンブルクの税務当局との取り決めの下で課税を優遇されていたとされる問題で、証拠となる文書を流出させたとみられる大手コンサルティング会社プライスウォーターハウスクーパース(PricewaterhouseCoopersPwC)のルクセンブルク法人の元社員が、窃盗とマネーロンダリング(資金洗浄)の罪で起訴された。同国の検察当局が12日、明らかにした。

 被告の身元は明らかにされていないが、日刊紙ルクセンバーガー・ウォルト(Luxemburger Wort)によると、監査法人のPwCルクセンブルク(PwC Luxembourg)に勤務歴のあるフランス人で、現在はフランスに居住している。被告はルクセンブルクの裁判所に出廷した後、起訴されたが、保釈された。

「ルクスリークス(LuxLeaks)」スキャンダルと呼ばれている一連の問題では、米アップル(Apple)やスウェーデンの家具大手イケア(IKEA)、米飲料・食品大手ペプシコ(PepsiCo)など世界有数の大企業がルクセンブルクの税務当局との取り決めの下で数十億ドル規模の課税から逃れていたとされている。

 起訴はPwCルクセンブルクが2012年6月に提出した訴状に基づくもの。同社はその約1か月前、多国籍企業の租税回避に関する仏テレビ局「フランス2(France 2)」の報道によって自社の書類が盗み出されていたことに気付き、告訴していた。

 また、この問題に関連して今週新たに公開された文書では、米マイクロソフト(Microsoft)、娯楽・メディア大手ウォルト・ディズニー(Walt Disney Company)、インターネット電話サービス「スカイプ(Skype)」など数十社の名前が明らかにされている。

 こうした一連の問題への対応を求める活動家らは、再発防止にはより厳しい法律の施行が必要だと主張している。先月就任した欧州委員会(European Commission)のジャンクロード・ユンケル(Jean-Claude Juncker)委員長は12日、欧州連合(EU)加盟各国とその議員らに対し、マネーロンダリング取り締まり規則の強化への支持を訴えている。

 長年にわたりルクセンブルクの首相を務めていた同委員長については先月、この問題をめぐって欧州議会に不信任決議案が提出された。ただし、決議案は同月中に行われた採決で否決された。(c)AFP