【12月12日 AFP】スイスのジュネーブ大学病院(Geneva University Hospital)は11日、エボラ出血熱のワクチンの臨床試験で数人の被験者に予期していなかった関節痛が出たとして、試験の一時中断を発表した。世界保健機関(WHO)は、ワクチン開発の後退にはつながらないとの見方を示している。

 ジュネーブ大学病院では、エボラ出血熱の実験的ワクチン2種類の臨床試験が行われており、副作用が出たのはこのうちの1つ「VSV-ZEBOV」。同ワクチンはカナダの保健当局が開発し、米バイオ医薬品のニューリンク・ジェネティクス(NewLink Genetics)がライセンスを取得している。

 大学病院の説明によると、11月10日に開始された臨床試験に参加している59人のボランティアのうち、4人が「VSV-ZEBOV」の投与を受けてから10~15日後に手足の関節に軽度の痛みがあると訴えた。痛みは数日続いたという。

 そこで大学病院は、終了予定まで1週間を残してこの臨床試験を一時中断することを決めた。来年1月5日に再開する見通しという。

 病院によれば、「VSV-ZEBOV」の副作用として関節痛は予期されていなかったが、一般的なワクチン接種の後に関節痛が出ることは珍しくないという。

「VSV-ZEBOV」は数か国で臨床試験が行われている。WHOのマリー・ポール・キーニー(Marie-Paule Kieny)事務局長補は、ジュネーブ大学病院の発表について「後退ではない」と記者団に述べ、大きな問題として扱うべきではないとの見方を示した。(c)AFP