【12月11日 AFP】ロシア一の富豪、アリシェル・ウスマノフ(Alisher Usmanov)氏が9日、わずか数日前に470万ドル(約5億7000万円)で競り落としたノーベル賞(Nobel Prize)のメダルを、出品者である米遺伝学者ジェームズ・ワトソン(James Watson)博士(86)に返還する意向を表明した。

  DNAの二重らせん構造を発見したことで1962年にノーベル賞を受賞したワトソン博士のメダルは、今月4日、競売大手クリスティーズ(Christie's)がニューヨーク(New York)で行ったオークションで匿名の購入者が落札していた。クリスティーズによると、存命中にメダルを売却したノーベル賞受賞者は、ワトソン氏が初めて。

 鉱山、鉄鋼、通信などの事業を手掛けるウスマノフ氏は自身が率いるロシアの投資会社、USMホールディングス(USM Holdings)を通じて発表した声明で、落札者は自分であると名乗り出たうえで、メダルを返還する考えを明らかにした。

 ウスマノフ氏は、「極めて優れた科学者がその功績によって得たメダルを売却するなどということがあってはならない」「メダルは、それを手にする価値がある人物の手元に置かれるべきだ」と述べている。

 米誌フォーブス(Forbes)によると、ウスマノフ氏の総資産は約176億ドル(約2兆756億円)とされている。(c)AFP