【12月9日 AFP】国際自転車競技連合(UCI)のライセンス獲得に望みをかけているアスタナ(Astana Pro Team)の選手が、ランス・アームストロング(Lance Armstrong)氏を禁止薬物により成功に導いたとして知られる医師と会っていたことが報じられ、チームを震撼させている。

 アスタナは、バレンティン・イグリンスキー(Valentin Iglinsky)とマキシム・イグリンスキー(Maxim Iglinskiy)の兄弟に加え、リザーブチームのアスタナ・コンチネンタル(Astana Continental)に所属する3選手がドーピング違反を犯し、来季の参戦が危ぶまれている。

 アスタナ・コンチネンタルは、10日ほど前に資格停止となっており、かつて薬物問題を起こしたアレクサンドル・ヴィノクロフ(Alexandre Vinokourov)氏が代表を務めるアスタナのライセンス承認について、UCIは今週にも決断を下すことになっている。

 ガゼッタ・デロ・スポルト(Gazzetta dello Sport)紙は、昨年11月にアスタナの選手がキャンプ地のモンテカティーニ・テルメ(Montecatini Terme)で医師のミケーレ・フェラーリ(Michele Ferrari)氏と面会したことを報じており、これがUCIの決断を左右する可能性がある。

 2010年にフェラーリ氏のドーピング関与や金銭活動の調査を開始した伊パドバ(Padua)の検察は、イタリアオリンピック委員会(CONI)のドーピング検査員に、「90人のサイクリストの名前を含む、500ページにわたる証拠」を提出する準備を整えているとしている。

 これらの証拠の中には、2013年11月に「フェラーリ氏が、チームの複数のメンバーと会話している写真」があるとされている。しかし同紙は、証拠写真の中に、2014ツール・ド・フランス(2014 Tour de France)覇者の「ヴィンセンツォ・ニバリ(Vincenzo Nibali、イタリア)とフェラーリ氏」に「つながるものは何もない」と伝えている。

 薬物にまみれたアームストロング氏の現役時代に、助言を行っていたフェラーリ氏は、CONIと米国反ドーピング機関(USADA)から永久追放処分を言い渡されており、競技や選手との関わりを禁じられている。選手もフェラーリ氏への相談を禁じられており、違反した場合は出場停止処分が下される可能性がある。

 この3年間では、フィリッポ・ポッツァート(Filippo Pozzato)、ミケーレ・スカルポーニ(Michele Scarponi)、ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(Giovanni Visconti)などイタリアのプロ選手がフェラーリ氏に助言を求め、3か月の出場停止処分となっている。フェラーリ氏は、検知されずに血液を強化するエリスロポエチン(ErythropoietinEPO)の使用に関する専門家として知られている。

 UCIのライセンス委員会は、今週にもアスタナのワールドツアーライセンスについて決定を下すことしているが、UCIのブライアン・クックソン(Brian Cookson)会長は、現状について「極めて憂慮している」と述べたと報じられている。

 ワールドツアーライセンスが承認されなかったチームは、自動的に主要大会への出場ができなくなる。(c)AFP