【12月6日 AFP】昨年11月に「スーパー台風」の直撃を受け、数千人が命を落とすなど甚大な被害を被ったフィリピン東部に、台風22号(アジア名:ハグピート、Hagupit)が接近中だ。6日現在、太平洋(Pacific Ocean)上を同国に向かってゆっくりと進んでおり、7日早朝にも上陸するとみられる。

 台風22号は漁業が主な産業の東部サマール(Samar)島に上陸した後、農家が中心で貧困層が多いフィリピン中部を通過し、人口が密集する首都マニラ(Manila)に向かう進路を取ると予想されている。

 昨年の台風30号(アジア名:ハイエン、Haiyan)による強風と津波のような高潮で最も大きな被害を受けた都市の一つ、レイテ(Leyte)島東部タクロバン(Tacloban)市では6日、避難してきたに数千人の住民で学校や教会がいっぱいになっている。

 フィリピン政府によると、沿岸部に暮らす60万人以上が避難所に身を寄せているが、家屋を倒壊させるほどの強風と台風による高潮、地滑りの発生が予想され、警報が出されていることから、6日中に避難する市民はさらに増える見通しだ。

 同国中心部にある多くの地域はいまだ、ハイエンからの復興の途上にある。7350人以上が死亡または行方不明になったハイエンは、フィリピンを襲った史上最大規模の台風だった。

■恐怖に襲われる住民ら

 ハイエンの被害で自宅が全壊、母親が死亡したアルマ・ガウト(Alma Gaut)さん(36)は「怖い。皆がパニックになっている」と話した。

 AFPの取材に対し、1000人を超える人たちと共に大学の校舎の2階に身を寄せていると語ったガウトさんは、「寝るときにも、ぼろぼろのビニールシートしかない。祖母は今からもう寒がっている」と不安を口にした。(c)AFP/Imelda Magbutay