【12月5日 AFP】米遺伝学者ジェームズ・ワトソン(James Watson)博士(86)がDNAの二重らせん構造を解明した功績で1962年に受賞したノーベル賞(Nobel Prize)のメダルが4日、米ニューヨーク(New York)で競売に掛けられ、予想を大きく上回る475万ドル(約5億7000万円)で落札された。

 ノーベル賞受賞者が存命中にメダルを売るのは初めて。DNAの二重らせん構造の解明は、20世紀の科学史上最も重要な発見の1つといわれている。

 競売大手クリスティーズ(Christie's)が主催したオークションには、ワトソン博士がノーベル賞の晩餐会(Nobel Banquet)で行った演説用の5ページの直筆草稿や、ノーベル賞会議に参加した際の46ページの訂正入り原稿も出品され、それぞれ36万5000ドル(約4400万円)と24万5000ドル(約2900万円)で落札された。

 多くの著作でも知られるワトソン博士だが、黒人の知能を疑問視する発言(後に謝罪)をして以来、科学界からは距離を置かれた状態にある。今回の競売で得た収益の一部は、学生生活を送ったシカゴ大学(University of Chicago)と勤務したケンブリッジ大学クレアカレッジ(Clare College at the University of Cambridge)、長年会長を務めたコールド・スプリング・ハーバー研究所(Cold Spring Harbor Laboratory)に寄付する意向だ。(c)AFP