【12月4日 AFP】中国で物議を醸していた、臓器移植に刑執行後の死刑囚の臓器を供給する慣習が、2015年から中止されると中国紙が4日、報じた。

 慢性的な臓器移植のドナー(臓器提供者)不足に陥っている中国では、死刑囚の臓器を供給源とする状況が何年も続いていたが、かねてから批判が強まっており、政府は何度も中止すると言明していた。

 国際人権団体らは、臓器摘出にあたって死刑囚本人や家族の同意を得ていないと中国当局を批判しているが、中国政府はこれを否定している。

 南方都市報(Southern Metropolis Daily)の報道によると、中国人体器官捐献与移植委員会(China Organ Donation Committee)の黄潔夫(Huang Jiefu)主任委員は3日に行われた会合で、移植手術の供給源に死刑囚の臓器を用いることを来年の1月1日から「包括的に終了する」と宣言。黄主任委員は、これにより中国の移植手術の臓器供給源は自主的なドナーのみとなると説明した。

 だが中国政府はこれまでも同様の宣言を何度も行っている。黄主任委員も衛生省次官だった2012年11月、臓器提供の死刑囚への依存を2年以内に中止すると約束していた。

 黄主任委員によれば、ドナーの割合は100万人に37人のスペインと比較して、中国では100万人にわずか0.6人だけだ。それでも、中国は新たな臓器提供制度を導入しており、2014年にはこれまでの4年間の合計よりも多い約1500人から臓器提供があったという。

 米国を拠点とする人権団体「対話基金会(Dui Hua Foundation)」が10月に発表した統計によると、2013年に中国で刑が執行された死刑囚は2400人で前年比で20%減、2002年の1万2000人と比べると大きく減っている。(c)AFP