【11月28日 AFP】ベネズエラの刑務所で収監環境の改善を求めてハンガーストライキを行っていた受刑者たちが、処方薬とグレインアルコール(エタノール)の混合物を飲んだ後に死亡したとされる件で、同国の人権監視団体は27日、政府発表の13人との死者数に疑問を呈し、25人前後の遺体を確認していると発表した。

 ベネズエラ政府によれば、北西部ララ(Lara)州のダビド・ビロリア矯正センター(David Viloria Correction Center)で同じくハンストを行っていたさらに145人も、混合物を飲んで中毒症状を起こし治療を受けている。受刑者たちは、非人道的な処遇と刑務官による人権侵害に抗議するとして、25日からハンストを実施していた。

 ベネズエラ刑務所省は、26日夜に受刑者たちが暴れ出し、監房区画の壁や扉を破って診療室になだれ込み、グレインアルコールとてんかん治療用の薬剤や抗生剤、鎮静剤などを自分たちで混ぜ合わせた液体を暴飲したと発表している。

 しかし、ベネズエラの刑事施設監視団体OVP(Observatorio Venezolano de Prisiones)は受刑者たちの家族による報告として、中毒症状を起こしたのは刑務所側から与えられた飲料水を口にした後だと主張している。OVP代表のウンベルト・プラド(Humberto Prado)氏はAFPの取材に対し「表示ラベルを読まずに薬を飲むほど受刑者たちはばかではない」と憤りをあらわにした。検察当局は専門家チームに捜査を要請している。

 今回、複数の受刑者が死亡したこの刑務所では、定員の4倍にあたる3700人が収容されていた。またある受刑者の親族は、所内の検査の際に受刑者たちは常に殴打され、腐った食料を与えられ、面会は月に1度に限定されており、定員超過の監房内では疥癬(かいせん)のような疾患がまん延していると語った。

 ベネズエラの刑務所制度は世界で最も暴力的な類に入ることで知られる。OVPによれば、今年前半だけで暴力事件により全国で150人の受刑者が殺害されている。13年は通年での死者が506人に上った。(c)AFP/Patricia CLAREMBAUX