【11月27日 AFP】韓国の朴槿恵(パク・クネ、Park Geun-Hye)大統領の名誉を傷つけたとしてソウル中央地検に在宅起訴された産経新聞(Sankei Shimbun)の加藤達也(Tatsuya Kato)前ソウル支局長が27日、初出廷し、問題とされたコラムは公益性にかなった内容だったと主張した。

 加藤前支局長は8月、高校生ら約300人が犠牲になった旅客船セウォル(Sewol)号沈没事故当日の朴大統領の所在に関し、韓国メディアや証券会社の間でささやかれていた、男性と密会していたとのうわさをコラムで紹介。名誉毀損(きそん)で10月に在宅起訴され、韓国からの出国を禁じられている。有罪なら禁錮7年の刑に相当する。

 韓国大統領府は、うわさの内容を否定している。

 公判開始を前にソウル中央地裁で27日に開かれた予審で、加藤前支局長は「セウォル号沈没事故に関連して、韓国国民の間に存在する朴槿恵大統領への認識をありのままに日本の読者に伝えようとした」「大統領個人を誹謗する意図は全くない」と主張した。

 一方、検察側は、加藤前支局長が密会を事実であるかのように示唆し、朴大統領を侮辱したと主張した。

 韓国の名誉棄損法では、問題とされる発言や記事に公益性があるか否かが焦点となる。国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団(Reporters Without BordersRSF)」は、加藤前支局長のコラムは「明らかに」公益性のあるものだとして、産経側を支持する見解を示している。(c)AFP