【11月27日 AFP】ロシア東部シベリア(Siberia)の空港で25日朝、機体が凍結して動けなくなった旅客機を、乗客の石油採掘労働者らが手で押して滑走路に乗せ離陸させる出来事があった。乗客の1人が26日、動画共有サイトのユーチューブ(YouTube)にその時の映像を掲載し、明らかになった。

 映像には、北極圏(Arctic Circle)内にあるイガルカ(Igarka)の雪で覆われた滑走路で、氷点下52度の気温の中、分厚い冬のコートを着た陽気な乗客たちがツポレフ(Tupolev)134型機の翼を手でつかみ押す姿が写っている。

 西シベリアの運輸検察局は声明で、「低気温のために、機体のブレーキシステムが凍結し、レッカー車が機体を誘導路まで移動させることができなかった。搭乗していた乗客が飛行機を降り、機体を押して誘導路に運んだ」と説明し、この出来事について調査を行っていることを明らかにした。

 クラスノヤルスク(Krasnoyarsk)に本拠を置くカテカビア(Katekavia)航空関係者が政府系のロシア新聞(Rossiyskaya Gazeta)に説明したところによると、操縦士たちが降機時に駐機ブレーキを外し忘れたことが原因で「ブレーキパッドが凍結し」飛行機が動かなくなってしまった。乗客たちが飛行機を押して、向きを変えることができるようにしたところで、レッカー車が機体をけん引したという。

 旅客機はその後、乗客74人を乗せて順調に離陸し、イガルカからシベリア(Siberia)の都市クラスノヤルスクに向かった。

 ソーシャルメディア上では、乗客らをたたえる声が次々と上がった。だが、空港当局幹部は露タス通信(TASS)に対し、「乗客は『自分撮り』のようなものをやろうとしたのだろう。しゃれた冗談が、インターネット上で話題になった」との見方を示している。

映像はhttp://www.youtube.com/watch?v=2Ra-qBGlGDkで見ることができる。(c)AFP