【11月26日 AFP】「ナンパ講師」などと称し各国で講演活動を行っている米国人のジュリアン・ブランク(Julien Blanc)氏(26)について、「性的暴行を正当化している」と非難する8000人分の署名を受け取ったシンガポール当局は26日、セミナー開催を予定していた同氏の入国を禁じる方針を示した。

 シンガポール政府は同日声明を発表し、ブランク氏が「特に女性に対する暴力を伝授する講演会やイベントを開く目的でわが国へ来る場合」には入国を阻止するとし、また「ブランク氏はこれまで様々な国で、女性とデートをする際に極めて虐待的な手口を使うよう男性たちに助言する講演会に携わってきた。女性のみならず何人に対する暴力もシンガポールの法律に違反するものだ」と述べた。

 シンガポールではネット署名サイト「change.org」で、テオ・チーヒエン(Teo Chee Hean、張志賢)副首相兼内相宛てに「この人物(ブランク氏)のシンガポールへの入国を拒否するか、すでに国内に滞在している場合には国外追放を求める」署名が立ち上げられ、8400人以上が署名した。署名の呼び掛け文では「この人物、及び彼が働く団体をシンガポールに入国させることは性暴力と性的略奪を正当化し、女性とは主体性のない遊び道具や物に過ぎない存在だという考えを広めるものだ」と非難している。

 ブランク氏は今年、オーストラリアでも抗議が殺到したことによりビザが取り消され、滞在の短縮を余儀なくされた。また英当局も先週、同氏の入国を拒否する決定を下した他、カナダでも同様の動きがみられている。11~12月にかけてブランク氏が世界ツアーの一環として訪問を予定している日本や韓国など、他のアジアの国々でも、当局が査証(ビザ)を発給しない可能性を示唆している。

 スイス系米国人のブランク氏は、リアル・ソーシャル・ダイナミクス(Real Social Dynamics)社の「デート講師」を務めており、女性を引きつける方法を男性たちに教えていると主張しているが、同氏が紹介するデート術については虐待的だとの批判が多くの人々から上がっている。(c)AFP