■「隠ぺいするつもりはない」

 孫は公聴会で、トリメタジジンは動悸を押さえるために何度か摂取している処方薬で、今年初めに禁止薬物リストに追加されていたことを知らなかったと主張した。

 新華社によると、CHINADAの幹部は、孫が「意図的に違反していなかったとする十分な証拠を示した」と判断したという。

 同幹部はまた、CHINADAがほかにも多くの検査を抱えおり、孫の違反について事前に公表する時間がなかったと説明。新華社が同日伝えた第2報と第3報では、ほかにも6人の選手が陽性反応を示したという。

「孫は、中国で最も有名なアスリートであり、世界中に知られている。従って、この問題については極めて慎重に対処する必要があった」

「これは非常に悪いニュースだが、われわれは隠ぺいするつもりはない」

 アジア大会の主催者であるアジアオリンピック評議会(OCA)は、今回のドーピング問題について知らなかったとし、孫が同大会で獲得した金メダルを剥奪する予定はないと述べた。

 OCAの広報担当は、AFPの取材に対してメールで、「仁川アジア大会のドーピング検査では、陽性反応は示されておらず、従ってOCAとは無関係である」と回答した。

 今回新たな不祥事を起こした孫は、これまでも数々の問題行動を起こしており、1週間拘留され、競技の出場停止処分を科された経歴もある。

 2013年には、航空機の客室乗務員との交際を反対されたことについて、公衆の面前でコーチと大げんかする騒動を起こしたとして、商業活動の禁止と警告を受けた。

 同11月、無免許でポルシェ(Porsche)を運転した孫は、バスとの接触事故を起こし警察に1週間拘留され、6か月の出場停止処分を受けている。

 そして今年のアジア大会でも、日本の国歌は「耳障りだ」と発言して物議を醸し、のちに謝罪した。