【11月25日 AFP】中国・競泳男子の孫楊(Yang Sun、ソン・ヨウ)がドーピング違反で3か月の出場停止処分を科されていたことが明るみに出た問題は、同国最大の禁止薬物事件として波紋を呼んでいる。

 2012年のロンドン五輪で2冠を達成し、1500メートル自由形でも世界記録を持つスーパースターの孫は、問題行動の多さでも知られているが、出場停止処分明けに出場した第17回アジア競技大会(17th Asian GamesAsiad)では3個の金メダルを獲得している。

 中国の反ドーピング機関(CHINADA)は、問題の隠ぺいを否定し、さらに処分が例外的に短期間であったことについては、22歳の孫から、意図的に禁止薬物である興奮剤「トリメタジジン(trimetazidine)」を摂取したわけではないとする証拠が示されたためだと述べた。

 国営新華社(Xinhua)通信は、孫の発言として、「これまで練習や競技を行う上で、何度もドーピング検査を受けてきたが、一度も引っかかったことはなかった」と伝えた。

「その時はショックを受けたし、落胆した。でも同時に、自分のスポーツ人生の大切さをより実感することができた。これを教訓として、これから一層の注意を払っていくつもりだ」

 中国の水泳選手については、1990年代に多くのドーピング違反が発覚しており、葉詩文(Shiwen Ye、ヨウ・シブン)がロンドン五輪の400メートル個人メドレーで驚異的なタイムをたたき出して金メダルを獲得した際にも、同様の疑惑が渦巻いた。

 新華社通信によると、孫は7月に処分を言い渡されたが、国内の選手権でトリメタジジンの陽性反応が示された5月17日にさかのぼって適用されていたという。

 1500メートル自由形の国内タイトルを剥奪され、罰金5000元(約9万6000円)を科された孫は、韓国・仁川(Incheon)でアジア大会が開幕する1か月前の8月17日、処分が明けた。

 CHINADAは、最初の検査で違反が見つかったものの、孫がBサンプルの検査を依頼しなかったことを明かしている。