【11月21日 Relaxnews】より質の高い旅を求める顧客をターゲットに、小さめの船でゆったりとしたペースで航海を楽しむクルーズが増えている。こうした「スロー・クルーズ」は通常のパッケージツアーと違って、くつろいだ雰囲気で催行され、珍しい場所を寄港地とするこが多い。

 4000人超の乗客を収容する船で、派手な船上アトラクションを提供し、主流の大衆層に幅広く人気の航路をたどるクルーズも健在だ。その一方で、一部のクルーズ会社は、小規模でより高級感のある船を用意し、ニッチ市場向けのツアーも行っている。

 スロー・クルーズを提供しているのは、イタリアのコスタ・クルーズ(Costa Cruises)や、フランスのポナン(Ponant)、クロイジエア・ドゥ・フランス(Croisières de France)など。主要顧客は富裕層で、価格は1週間で1人当たり2000ドル(約23万2000円)から。通常のクルーズはこの半額程度になる。違いの理由は「特別感」だ。

 スロー・クルーズに使われる船の収容人数は最大700人程度。3000人がデッキにごった返す通常のクルーズと比べると、よりゆったりできる雰囲気だ。また、大規模なショーやアクティビティーではなく、ワインのテイスティングや講演会など、特別なイベントが用意される。

 さらに、船体の小ささから小規模な港にも停泊できるため、典型的な観光地とは異なった目的地にも行くことが可能だ。これはツアーの重点を、寄港先の文化や建築、料理などに置くことにつながる。たとえば、コスタ・クルーズ社の一部のクルーズの寄港地は、国連教育科学文化機関(UNESCO、ユネスコ)の世界遺産に登録されている。また、寄港先での停泊時間も長めで、乗客は数日にわたってその土地を楽しむことができる。(c)Relaxnews/AFPBB News