【11月21日 AFP】ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染による後天性免疫不全症候群(AIDS、エイズ)の治療に広く使われている抗レトロウイルス薬の一種「NRTI(核酸系逆転写酵素阻害剤)」が、目の難病である「加齢黄斑変性」の治療にも応用できる可能性があるとする研究が20日、米科学誌サイエンス(Science)に掲載された。

 加齢黄斑変性は、網膜の中心部にある黄斑という組織に老化による異常が生じ、悪化すれば失明することもある。米ケンタッキー大学(University of Kentucky)のチームによると、マウスを使った研究で、黄斑変性の症状悪化につながるたんぱく質の複合体「インフラマソーム」の働きをNRTIが阻害することが確認できたという。

 研究チームはNRTIについて、肝炎や組織移植による合併症にも効果がある可能性を示唆している。

 論文の主執筆者、ベンジャミン・ファウラー(Benjamin Fowler)氏は、NRTIについて「他の病気に応用できれば有益だ。非常に安価な薬剤で、今回の実験に使用した薬剤の中には数十年の臨床実績によって高い安全性が確認されているものもある」と述べている。(c)AFP