【11月20日 AFP】欧州合同原子核研究機構(European Organisation for Nuclear ResearchCERN)は19日、世界最大の粒子加速器「大型ハドロン衝突型加速器(Large Hadron ColliderLHC)」での実験で、理論的に予測されていた粒子2種類の存在を確認したと発表した。

 CERNによると、今回発見された「Xi_b'-」と「Xi_b*-」として知られる粒子は、バリオン(重粒子)に分類されるものだという。

 バリオンは、いわゆる「強い力」で結合した3つのクォークで構成される複合粒子だ。陽子や中性子はバリオンの一種とされる。

 Xi_b'-とXi_b*-の存在はすでに理論的に予測されていたが、CERNはスイス・ジュネーブ(Geneva)近郊にあるLHCで、これらの粒子を見つけるための実験を実施した。

 CERNによると、実験はLHCのLHCb検出器で2011年と2012年に行われたという。今回の成果を報告する研究論文は、米国物理学会(American Physical Society)の学会誌「Physical Review Letters」に投稿された。

 LHCは2012年、万物に質量を与えるとされる「ヒッグス粒子(Higgs boson)」を発見したとして世界的な名声を得た。

 ヒッグス粒子は、物理学の「標準模型(Standard Model)」理論の重要な構成要素の一つ。標準模型は、物質の基本粒子とその相互作用や粒子間に働く力などを説明する理論だ。

 LHCは現在、さらに高い衝突エネルギーで運用するための改良整備を実施中で、2015年初頭から再稼働する予定。

 CERNによると、今回新たに存在が確認された2つのXi_b粒子は、それぞれ「ボトム」クォーク、「ストレンジ」クォーク、「ダウン」クォークが各1つずつ含まれているという。

 2つのXi_b粒子の相違点は、同粒子を構成する3つのクォークのうち、質量が軽い2つのクォークの「スピン」と呼ばれる性質が異なることだ。

「Xi_b*0」と呼ばれる同類のバリオン粒子は2012年、CERNの実験装置「コンパクト・ミューオン・ソレノイド(Compact Muon SolenoidCMS)」によって発見された。(c)AFP