【11月19日 AFP】北極圏のホッキョクグマは、今世紀の最初の10年で急速に減少し、個体数の約4割が失われたとの米国とカナダの科学者チームによる研究論文が、米国生態学会の学術誌「エコロジカル・アプリケーションズ(Ecological Applications)」に掲載された。

 特に2004~2007年は、ボーフォート海(Beaufort Sea)南部に生息するホッキョクグマにとって最悪の時期だった。この時期、海氷の薄化が進行したために、餌のアザラシを見つけることが困難になっていたと科学者らは考えている。

 論文の主執筆者で、米地質調査所(US Geological SurveyUSGS)の調査統計学者、ジェフ・ブロマギン(Jeff Bromaghin)氏は「2004~2007年に米アラスカ(Alaska)州で観察されたホッキョクグマの子80頭のうち、生存が確認されているのは2頭しかいない」と語る。

 生存率は2007年を境に向上し、個体数は2010年までに900頭となって以降、横ばいになっていると論文は述べている。

 だが子グマに限って見ると、その個体数は10年を通して減少していることが今回の調査で判明している。これは「母グマから離れて間もない若いクマにとって好ましくない状況が続いていた」ことを示唆するものだ。

 海氷消失への懸念を背景に、ホッキョクグマは地球規模で絶滅危惧種とみなされている。

 今回の論文には、カナダ環境省、同アルバータ大学(University of Alberta)、米魚類野生生物局(U.S. Fish and Wildlife ServiceFWS)、米非営利団体「ポーラー・ベアズ・インターナショナル(Polar Bears International)」、米環境コンサルのウェスタン・エコシステムズ・テクノロジー(Western Ecosystems Technology)の共同執筆者が名を連ねている。(c)AFP