【11月12日 AFP】12日に予定されている人類史上初の彗星(すいせい)着陸に向けた最終準備が、重要なシステム検査を終えて順調に進んでいる。欧州宇宙機関(ESA)が11日夜、発表した。

 ESAによると、彗星周回探査機ロゼッタ(Rosetta)の飛行管制チームは、地球から遠く離れた宇宙空間で実験用着陸機「フィラエ(Philae)」をロゼッタから彗星の表面に降下させる前に実施する必要のある4段階の検査について、その第1段階の検査結果を承認したという。

 第1段階では、ロゼッタがフィラエの切り離しに適した軌道上にあるかどうかのチェックが行われた。

 ESAの広報担当は、ドイツ西部ダルムシュタット(Darmstadt)にある宇宙管制センターで「われわれは最初のゴーサインを得た」と語った。「ロゼッタは完璧な軌道を周回している」

「決行か中止か」に関する残り3つの評価は、これから数時間以内に実施される予定で、その後に着陸試行の許可が下される見込みとなっている。

 母船ロゼッタに搭載された総重量100キロの科学実験用着陸機フィラエは、67P/チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星(Comet 67P/Churyumov-Gerasimenko)へと向け、約10年前に打ち上げられた。フィラエはロゼッタから切り離され、同彗星に軟着陸するように設計されている。彗星は現在、地球から5億キロあまり離れた距離にあり、太陽の方向に高速で進んでいる。

 宇宙物理学者らは、フィラエがこの危険な降下ミッションを切り抜け、搭載された10種類の機器で彗星の氷や塵(ちり)の分析が行われる様子を固唾を飲んで見守ることになる。これらの分析対象は約46億年前に太陽系を形成した太古の物質の名残とされている。

 彗星が幼年期の地球に衝突してもたらした水は、生命誕生に欠かせない要素の海や炭素分子になったとの説があるが、今回得られるであろう分析結果を通じて、この説については再検証が行われるかもしれない。

 最終となる第4段階の「決行」の承認が12日早朝に得られれば、切り離しはグリニッジ標準時(GMT)12日午前8時35分(日本時間同日午後5時35分)に行われる予定。着陸はこの約7時間後に行われ、グリニッジ標準時(GMT)12日午後4時(日本時間13日午前1時)頃に確認信号が地球に届く見込みだ。(c)AFP