一方、サーキジアンさんはゲームの中の女性キャラクターの描かれ方を問題視している。「女性のステレオタイプは、女性は男性を喜ばすための性の対象だという考えを強化している」「プリンセスは乙女でないべきかもしれないし、自分の身は自分で守れるかもしれない」(サーキジアンさん)

 サーキジアンさんはゲーマーゲート論争のなかで、こうした立場を取ったために脅迫され、米ユタ(Utah)州の大学での講演もキャンセルされる事態となった。「私たちは男性が支配するゲーム界の現状に挑戦しているために、彼らは激しく襲いかかってくる」とサーキジアンさんは指摘する。「私たちが、ゲームはもはや女子お断りの世界ではない、と声を上げたことに、ゲーマーゲートは反応している」

■殺害の脅迫も

 ゲーム開発企業ジャイアント・スペースカット(Giant Spacekat)の共同創設者ブリアンナ・ウー(Brianna Wu)さんは、ゲーマーゲートは男性が長く支配していたゲームの世界を、つまり自分たちの領域を守ろうとしているのだ、とオンラインでのインタビューで語った。

 ウーさんは、ゲームの中の女性の描かれ方を批判したために嫌がらせを受けたり業界から追い出されたりした女性の友人たちの話を挙げた。自身も「ブリアンナに死を」というハンドルネームの匿名ユーザーからツイッターで何度も脅迫を受けた。ウーさんと夫は警察に相談した結果、家を出ることを決めた。

 オンラインでの攻撃は、標的となった人物の自宅の住所などの個人情報をネット上にさらす「doxxing(ドキシング)」と呼ばれる行為にまで発展している。

 多くのゲーム開発者がゲーマーゲートの攻撃的な手法を声高に非難している。ゲーム業界団体のエンターテインメント・ソフトウェア協会( Entertainment Software Association)はAFPへの電子メールで、「暴力の脅迫や嫌がらせは間違っている」「やめなければならない。ゲームコミュニティーでも私たちの社会でも、個人に対する攻撃や脅迫は許されない行為だ」と表明した。

 ネットの世界では今も争いは続いており、ツイッター上では「#GamerGate」と「#NotYourShield」のハッシュタグでやりとりが続いている。 

 また、対立をあおって炎上させる目的で参戦する匿名の「トロール(荒らし犯)」たちがいるとの指摘も出ている。英国のゲーム批評家ジョン・ベイン(John Bain)さんはデービッド・パックマン(David Pakman)さんのトーク番組が行ったビデオインタビューで、ゲーマーゲートは「誰でも無条件で参加できるリーダーのいないハッシュタグ・ムーブメント」になったと語った。「ゲーマーの大半は性差別主義でも女嫌いでもない。彼らは今、かやの外に置かれている気分を味わっている」

(c)AFP/Glenn CHAPMAN