【11月11日 AFP】ロシアの首都モスクワ(Moscow)で10日、悪臭が終日街に立ち込めた。当局には不安に駆られた市民からの問い合わせが殺到し、職員らは原因究明に追われた。

 ちゃかし好きなモスクワ市民は予想通りこの騒動に飛びつき、人口約1200万人の同市で「地獄の門が開いた」などと冗談を言った。

 モスクワの環境団体「モスエコモニタリング(MosEcoMonitoring)」が発表した声明によると、市内では10日早朝から、「空中に漂う硫黄と硫化水素、油製品の不快な臭い」についての市民の苦情が相次いだ。大気中の硫化水素濃度は、基準値を一時上回ったが、二酸化硫黄は通常の範囲内だったという。

 当局は市民に対し、パニックを起こさないよう呼び掛けた。非常事態省の報道官はAFPに対し、「硫化水素の臭気は危険ではない」と語った。

 この悪臭は10日夜までに軽減された。しかし原因をめぐる謎は、当局が地元の石油精製所に責任があるとしたのに対し、精製所側がいかなる問題もなかったと否定したことで、一層深まった。

 非常事態省は、モスクワ南東部にある同精製所の空気浄化フィルターに不具合があったと指摘。同精製所を管理する国営天然ガス大手ガスプロム(Gazprom)傘下のガスプロム・ネフチ(Gazprom Neft)は、10日夕方に発表した声明で、「精製所は、通常の状態で稼働していた」として同省の発表を否定した上で、同社の研究所では硫化水素濃度の急激な上昇は記録されていないと付け足した。

 ツイッター(Twitter)のあるロシア人ユーザーは、「モスクワで地獄の門が開いたのか?」「この臭いはなんなんだ」と投稿している。(c)AFP