■魅力はチェーン店にはない「人間味」

 スターバックスと違って店内での喫煙が認められているのも、ランブルのような古いタイプの喫茶店が経営を続けられる一つの要素かもしれない。キセルでたばこを吸う関口さんも、店内を禁煙とする新しいタイプの喫茶店のやり方は間違いだと考えている。おいしいコーヒーを飲んだ後にはたばこを吸いたくなるものなのだという。

 ランブルがある銀座の目と鼻の先、築地(Tsukiji)の魚市場にほど近い古いビルの2階に店を構える喫茶店「アローマ(Aroma)」。この店もやはり、たばこの煙で包まれていた。

 日本がバブル景気に沸いていた30年前に開業した同店は、多くの自営喫茶店同様、今も開店当初の雰囲気をとどめている。観葉植物の鉢植えや複製絵画で飾られた鏡張りのサロン。カウンターの裏では、丸いガラス製サイフォンがぽこぽこと音をたて、店内には「スタンド・バイ・ミー(Stand By Me)」のメロディーが流れる。それぞれのテーブルの上にはコーヒーフレッシュが積まれた容器と、灰皿が置かれている。

 高齢の女性がストローでアイスコーヒーを飲み、フレンチトーストをかじっている。その橫では休憩中の若い看護師の女性2人組が立て続けにたばこを吸っていた。大手のカフェチェーンが経営する似たり寄ったりの喫茶店とはまったく対照的なこの店を選んだ客たちだ。

 娘と一緒にアローマを経営するコシバ・ジュンコ(Junko Koshiba)さん(63)は来店客にサービスのバナナをふるまいながら、チェーン店は人間味がないけれど、この店では話そうと思えば他の客と言葉も交わすこともでき、温かい雰囲気があると話した。

 アローマのブレンドコーヒーには、ランブルの熟成した滑らかさはないが、コシバさんは昔ながらのスタイルを貫く自分の店のような喫茶店が、スターバックスや国内大手のドトール(Doutor)、カフェ・ベローチェ(Caffe Veloce)などによって淘汰されることはないと自信を見せる。チェーン店でモバイルPCや携帯電話を見つめていたのでは味わえない真のリラックス感を、アローマでは味わえるという。(c)AFP/Katie FORSTER