今のところは海豹と、同じく米国で1940年代に建造された「海獅(Hai Shih)」の、海獅(米グッピー2 Guppy II)級2隻が台湾の潜水艦隊の主力だ。

 毎年行われている海軍演習を終えて台湾南部の左営(Tsoying)海軍基地に戻って来た海豹の艦内は見事に磨き上げられて光を放っていた。それは乗組員のプライドだ。

 海豹のLiu Si-wei 艦長は昨年、米国で上級潜水艦士官訓練課程を修了した。共に訓練を受けた米国の士官の中には現在、原潜の艦長を務めている人も数人いるという。「海獅級の2隻がまだ現役だと聞いて、クラスメートたちは『素晴らしい』と言っていました。事情が許せばぜひ見てみたいとも言っていました」(Liu艦長)

 耐圧殻のゆがみと金属疲労のため、2隻とも今では設計深度の10分の1に満たない水深20メートルまでしか潜水することができない。台湾海軍は来年、8億台湾元(約30億円)以上をかけて、この2隻のうち1隻を改修することを計画している。いずれ2隻とも耐圧殻を更新する計画だ。

 アジアの安全保障や公共政策に関する米シンクタンク「Project 2049 Institute」のマーク・ストークス(Mark Stokes)代表は、台湾独自の潜水艦の建造は夢物語ではないと言う。すでに40万トンの石油タンカー1隻や海軍のフリゲート艦7隻などを建造した実績がある台湾の造船業界は、世界全体でみてもトップクラスだと同氏は指摘している。(c)AFP/Benjamin YEH