【11月7日 AFP】中国の外交や軍関係者らが東アフリカを公式訪問中、違法な象牙を買いあさったために象牙価格が高騰しているとする報告書を、非政府組織(NGO)「環境捜査局(Environmental Investigation AgencyEIA)」が6日、公表した。

 英国を拠点とするEIAの報告書はタンザニアのダルエスサラーム(Dar es Salaam)の象牙商人の話として、2013年に習近平(Xi Jinping)国家主席がタンザニアを訪問した際、同行した閣僚や財界代表団らが象牙を大量に購入したため、象牙の価格が現地で1キロ700ドル(約8万円)へと倍に跳ね上がったと伝えた。

 この象牙商人の話によれば、外交上の訪問者には保安検査が行われないことを利用して、中国の外交関係者らは購入した象牙を習主席の専用機に持ち込んだとみられる。

 同様の象牙取引は胡錦濤(Hu Jintao)前国家主席のアフリカ訪問時にも行われており、少なくとも2006年以降は中国大使館職員が象牙の主要購入者になっているという。

 昨年には、中国海軍の艦船がソマリア沖アデン湾(Gulf of Aden)での対海賊巡視航海を終えてタンザニアに寄港したことを機に、ダルエスサラームを拠点とする象牙取引が活発化した。同海軍の船が寄港していた際には、木製彫刻品の下に隠した象牙81本を、大型トラックでダルエスサラームの港に持ち込もうとした中国人の男が逮捕されている。この男は中国海軍将校らに象牙を届ける計画だったと供述しているという。男は3月、ダルエスサラームの裁判所で禁錮20年の判決を言い渡された。

 天然ガスが豊富なタンザニアは、東アフリカにおける中国の主要関係国の一つ。ジャカヤ・ムリショ・キクウェテ(Jakaya Mrisho Kikwete)大統領が就任した2005年、タンザニアには約14万2000頭のゾウが生息していたが、密猟が続けば2015年までに5万5000頭にまで激減するとEIAは警告している。(c)AFP/Tom HANCOCK