【11月6日 AFP】国際的な企業数百社がルクセンブルクと秘密裏に協定を結び、数十億ドル(数千億円)規模の租税を回避していたことが流出した大量の書類から明らかになったと、国際調査報道ジャーナリスト連合(International Consortium of Investigative JournalistsICIJ)が5日、発表した。

 米国を拠点とするICIJによると、6か月におよんだ調査の結果、米飲料・食品大手ペプシコ(PepsiCo)、スウェーデンの家具大手イケア(IKEA)、ドイツ銀行(Deutsche Bank)などの著名企業が、ルクセンブルクの課税回避措置で租税を回避していたことが分かった。

 ICIJが調べた流出資料は、大幅な租税の回避を可能とする複雑な財政構造の詳細を記したもので、計2万8000ページにのぼる。

 2002~10年の間にルクセンブルクで行われた問題の企業が絡んだ課税裁定の少なくとも548件について、企業コンサルティング大手、プライスウォーターハウスクーパース(PricewaterhouseCoopers)が手助けしていたという。

 ICIJが入手した書類から、各企業への課税に関する事前の取り決めがあることも明らかになった。

 ICIJの調査に加わったのは26か国の記者約80人で、英紙ガーディアン(Guardian)、仏紙ルモンド(Le Monde)、独紙南ドイツ新聞(Suddeutsche Zeitung)などの記者が参加している。

 ガーディアンは、各企業が欧州連合(EU)加盟国のルクセンブルクと結んだ協定を「完全に合法」なものとしたうえで、この協定で可能となった租税回避額は「1産業規模」に上ると伝えた。

 こうした企業には英ファッションブランドのバーバリー(Burberry)、米日用品大手プロクター・アンド・ギャンブル(Procter and GambleP&G)、米食品大手HJハインツ(HJ Heinz)、米金融大手JPモルガン・チェース(JPMorgan Chase)、米運輸大手フェデックス(FedEx)なども含まれており、なかにはルクセンブルクを経由することで課税額が1%未満という企業もあったという。

 多くの企業が、事業規模がわずかであるにも関わらず在ルクセンブルクの子会社を利用して租税を回避していた。さらには、同一の住所に1600の企業が登録されていた事例もあったという。

 ガーディアンは、こうしたルクセンブルクの状況を米財務省のスティーブン・シェイ(Stephen Shay)氏が「魔法の国」のようだと語ったと伝えた。(c)AFP